個人的オススメ海外SF小説 5選

僕は小説をよく読むのですが、好きなジャンルの一つにSF小説があります。
SFとは”サイエンスフィクション (Science Fiction)”の略で、科学的な空想に基づいたフィクションのことですね。
この記事では、僕が個人的にオススメする海外SF小説5作品を紹介します!
「海外の小説は読みにくい」と敬遠する人もいらっしゃるかもしれませんが、ハマるとめちゃくちゃ楽しいです!
ネタバレができない関係上、どうしても紹介文や感想がざっくりというか物足りないものになってしまいますが、気になった作品があればぜひとも読んでみてくださいね!
紹介する5作品は以下です。
①火星の人/アンディ・ウィアー
②プロジェクト・ヘイル・メアリー/アンディ・ウィアー
③星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン
④三体/劉慈欣
⑤アルジャーノンに花束を/ダニエル・キイス

読書した本の感想を書いてポイ活ができる「ブクスタ!」というサービスもありますので、ぜひ本好きの方は試してみてくださいね。
紹介記事は以下です。


火星の人/アンディ・ウィアー/早川書房
ハードSFの傑作「火星の人」。まずはこの作品を紹介します!
いわゆる「トンデモSF」が苦手な方は、この作品がよいのではないでしょうか。
文庫本として上下巻にわかれて販売されています。
本作の舞台は、現代より少しだけ先の未来。
有人火星調査のため火星へ行ったワトニー一行。
しかし、猛烈な嵐のため任務の途中で急遽地球への帰還を余儀なくされました。
帰還作業を進める中、主人公であるワトニーに暴風で折れたアンテナが直撃。
他のメンバーは彼が死んだものと判断し、彼を火星に残したまま帰還してしまいます。
ところが、ワトニーは奇跡的に生存していました。
しかし、火星に独りぼっちで酸素も食料も限りがある。
彼以外は彼を死んだものと認識しており、地球との満足な連絡手段もない。
たった1人で残されてしまったエンジニア兼植物学者のワトニー。
火星のハブ内でのジャガイモの栽培に成功するも吹き飛ばされたり、地球との通信手段がなくなったりと、文字通り「致命的」なトラブルに見舞われながらも、自分の知識と限られた物資で生存と脱出を目指すハードSFです。
火星人が出てくるわけでもワープのような超化学的な描写もない。
SF(サイエンスフィクション)だけど、本作品中に描写されているのは現代よりちょっとだけ進んだ技術と一般的な化学知識・法則のみです。
誰も火星には行ったことがない。でも「もし火星に取り残されたらこうなるんだろうな」と読者に疑似体験させるような、リアルなSFです。
絶望的な状況でありながらも、ワトニーは決して諦めない不屈の精神と持ち前のユーモアで火星からの帰還を目指します。そんな彼のひたむきさ、そして彼一人を救うために全世界の人々が一丸となる展開に胸が熱くなります。
最後は泣きました。もはや言葉は不要です。
ちなみに、本作品はハリウッドで「オデッセイ」として映画化されており、そちらのクオリティも大変すばらしいです。
特に、どうしても小説ではわかりにくい部分を映像で補完できるので、小説を読んでイマイチ状況の理解ができなかった方にもおススメです。
でも、ぜひ小説を読んでいただきたいです。
映画ではどうしても尺の問題で省略や簡素化されている部分があり、原作を読んだ読者には若干物足りなさが感じられてしまうからです。
モーニングで連載中の漫画:宇宙兄弟(小山宙哉/講談社)が好きな人はこの作品も好きと断言できます!
逆に「火星の人」が好きで「宇宙兄弟」を未読の方はぜひ読んでいただきたいです。
伊与原 新先生の「宙わたる教室(文藝春秋)」でもこの「火星の人」は登場しています。
「宙わたる教室」も傑作です!NHKで実写ドラマ化もされました!
未読の方はぜひ読んでてみてください。
プロジェクト・ヘイル・メアリー/アンディ・ウィアー/早川書房
①で紹介した「火星の人」と同著者:アンディ・ウィアー氏によるSF小説です。
「火星の人」がハードSFだとすると、こちらはフィクション感が強めな内容です。
2026年に実写映画が公開予定です。今から公開が楽しみです!
ちなみに、YouTubeで映画の予告編を観ることができますが、原作未読の方はこの予告編を観るのはオススメしません!「原作であんだけひっぱったのに、ネタバレしちゃうんだ!?」って感じです。
ちなみに、タイトルの「ヘイル・メアリー」は聖母マリアに祈るという意味ですが、「イチかバチか」とか「神頼み」という意味があります。
地球はもうほぼ滅びかけている中、藁にもすがるような気持ちで送り出されたのが、この主人公たちですね。
余談ついでに、アメリカンフットボールにも「ヘイルメアリーパス」なるものがあります。
負けている方のチームが大逆転を狙って神頼みのようなロングパスをするというプレイですね。
名作アメフト漫画「アイシールド21」でも「ヘイルメアリーパス」をするシーンがあり、めちゃくちゃ印象に残っています。
前置きが長くなりましたが、本作の主人公:グレースは宇宙船の中で昏睡状態から目覚めます。今はいつなのか、なぜこの宇宙船に乗っているのか、宇宙のどのあたりを飛んでいるのか…。
プロジェクトのメンバーと思しき残り2人の同乗者はすでに亡くなっており、グレースはたった1人でこの状況と自分に与えられた使命について把握をします。
記憶の覚醒や情報を確認する中で、徐々に明らかになってくる現状とこの旅の目的。
たった一人孤独な旅を続けるグレースですが、上で紹介した「火星の人」の主人公:ワトニーと同じくユーモアな性格で、読者は飽きることなく本作を読み進めることができます。
本作も上下巻になっているのですが、上巻の後半でなかなか衝撃的な展開になります。
少なくとも僕は予想していませんでした。
そこから物語の結末までは一気に読み進めてしまいます。
「火星の人」も本作もそうなのですが、SF作家ってどうしてこうも確かめようのないSF的な要素を具体的かつそれっぽく見せる(いい意味で)ことができるのでしょう。
ただただ脱帽です。
グレースは地球を、そして宇宙を救うために自分ができる限りの努力をします。
旅の終わりに彼は目的を達成することができたのでしょうか。
僕は本作の結末は大好きです。
ストーリーはめちゃくちゃ面白い一方で、正直文章のみではイメージしにくかったシーンもあります。これが実写映像化されて、イメージしにくかった部分が視覚的に補完されるとなるともう映画は観に行くしかありませんね!
ぜひ実写映画の予告等でネタバレを食らう前に原作を読んでみてください。
この作品は、よい、よい、よい!
星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン/ 東京創元社
こちらも上で紹介した「宙わたる教室」に作品名が出てきましたね。
ということは名作です。間違いありません。
①で紹介した「火星の人」がリアル路線を追求したハードSFだとすると、本作品は「こんなことはあり得ないけど、これが事実なのでは」と本気で思わせてくれる、想像力に富んだ内容のSF作品です。
本を開くともう最初から謎。月で発見された5万年前の人類ってなに?理解が及びません。
それだけで本作を読む意欲を駆り立ててくれます。
しかもこの作品、著者のデビュー作です。衝撃ですね。
その後も、月で発見された人類である「チャーリー」の所持品や、新たな手掛かり、追加情報により進む解明と、その度にさらに深まる謎。
各分野の専門家が数多くの謎を科学的かつ論理的に紐解いていく過程がとても面白いです。
研究者ってこんな感じに検証+考察し、仮設が事実であると推測していくのかと、化学メーカー勤務の僕は、作品に関係していないところでなぜか感心してしまいました。
月での「チャーリー」の発見をきっかけに、彼が月にいた理由や我々人類の誕生のルーツまで紐解かれます。
オーパーツって実はこうやって残されるんだなとか、現代の技術でも解明されていない謎の真実はこれだったのか。といったように、実際の世界で謎とされているものに対し、どんな真実でもあり得るんだろうな、とロマンを感じさせてくれるような作品でした。
最後もまたいいですね。
「それ」があれば、推論が事実に変わるんだ!と裏付ける証拠はある。
でも「それ」は、必ずしも有識者には発見されず、人知れず埋もれていく。
その儚さが、読者に心地よい余韻と真実を知っているんだという優越感を与えてくれます。
現在の常識。それは真実ではないかもしれません。
未読の方は何を言っているかわからないと思いますが、気になる方は読んでみてください。
文句無しの傑作SFです!
ちなみにこの「星を継ぐもの」は続編が刊行されているシリーズものです。
気になる方は続編の「ガニメデの優しい巨人」なども読んでみてはいかがでしょうか?
三体/劉慈欣/早川書房
中国のSF作家 劉慈欣(リュウジキン)氏による超大作です。
僕がこれまで読んだ中で最大スケールのSF作品ですし、海外SF小説といえばこの作品を紹介しなければならないでしょう!
本作はNetflixで実写ドラマ化もされてますが、どうやって実写化したんでしょうか・・・
この「三体」シリーズ全てを読もうとすると、本編だけでも以下の計5冊を読む必要がありますので、なかなかボリュームがすごいです。
・三体
・三体Ⅱ 黒暗森林 上・下
・三体Ⅲ 死神永生 上・下
が、徐々に広がるスケールと、全く予想もできない展開+結末が楽しめますので、読んで損はありません!

僕は文庫本を買って読んだのですが、第二部と第三部の上巻の冒頭には前巻までのあらすじがまとめられています。
これ、マジで助かります。
ちなみにタイトルの「三体」とは、「三体問題」という、複数の天体(質点)がお互いに重力で影響し合う運動を扱う天体力学上の難問から取ったタイトルですね。
「三体」の物語は1960年代の中国から始まります。
SF作品なので、てっきり近い未来から始まると思いきや、文化大革命といった少し前の中国内のお話や巨大な軍事施設の描写ばかり。
文化大革命で父を殺された科学者:葉文潔(イエ・ウェンジエ)は、その軍事施設のアンテナから宇宙にとあるメッセージを送ります。
この行動が地球の運命を大きく変え、この物語のきっかけとなります。
そして時は少し進み、次に出てくるのは3つの太陽を持ち滅亡を繰り返す惑星を舞台とした「三体」という謎のVRゲーム。
正直、「三体」の前半部分では、いつまでも革新部分が出てこず焦らされた展開とわかりにくい描写の連続で、読むのをくじけそうになりました。
しかし、後半になり一気に引き込まれます。特に受信したあのメッセージを見たときは衝撃でした。
三体文明に狙われる地球。三体からの侵略艦隊が到着するまで、あと四百数十年。
地球人たちは三体文明に対抗するため、「面壁計画」を始動させます。
個人的には第二部である「黒暗森林」が一番好きです。
第二部の主人公である羅輯(ルオジー)も好きですし、これまでの「宇宙に知的生命体がいるとすれば、宇宙人はなぜ接触してこないんだ?」という、誰もが思う疑問に最適解を与えてくれる「黒暗森林理論」もとても腑に落ちました。
智子(ソフォン)、水滴…等、地球の科学力を遥かに凌駕した三体文明の技術によって、登場人物たちはもちろん、僕たち読者も深い絶望を味わいます。
特に水滴の絶望感はすごかった…。
第二部「黒暗森林」である程度綺麗にまとまり、これ以の広がりはあるのかと思って開いた第三部「死神永生」ですが、もうなんかスケールが僕らの想像できる範囲をとっくに超えてしまいました・・・。
ただただこのスケールも時間も果てしもない作品が、どのように終結するかを見届けるために最後まで一気に読み進めました。
旅の終わりはどうなるのか、地球の運命はいかに。最終盤の展開は、正直人を選ぶと思います。ただ、長きにわたって繰り広げられた三体文明との戦い、地球そして宇宙の危機。
そんなすべてを回収して堂々完結した「三体」。読んで損はありません。
関連2作品のご紹介
ちなみに「三体X 観想之宙(宝樹 作・早川書房) 」という作品もありますが、こちらは三体シリーズの熱烈なファンである宝樹氏が書いたいわゆる「作者公認同人」です。
また、「三体0 球状閃電(劉慈欣 作・早川書房)」という作品もあります。
こちらは三体の著者である劉慈欣氏が書かれていますね。
「三体」と直接関係はないのですが、本編に登場した丁儀(ディン・イー)や葉文潔(イエ・ウェンジエ)も登場するとのことです。
三体本編を読んだ後、興味のある方はこれらの2作を読んでみてもよいのではないでしょうか。ちなみに、僕はこれらの2作は未読ですのでご了承ください。
アルジャーノンに花束を/著 ダニエル・キイス・訳 小尾 芙佐/早川書房
1959年に中編小説として発表され、今でも読まれ続ける普及の名作です。
①~④まで壮大な宇宙を舞台にした作品でしたが、本作は1950年代のアメリカ・ニューヨークを舞台としています。
「SF」は、宇宙や未来のとんでもない技術を題材にしたものばかりではありません。
科学的な空想物語であれば「SF」となります。それがSFの良いところですね。
さて、僕は基本的に本の事前情報を頭に入れずに本を読み始めます。
この「アルジャーノンに花束を」も、名作という前評判だけインプットして読み始めました。
そんな僕が本を開いて目に飛び込んできたのは、文法もめちゃくちゃ、誤字脱字も多く幼児のお喋りを聞いているようなひらがなが羅列された文章でした。
それもそのはず、主人公のチャーリイは知的障害を持ち、32歳ですが幼稚園児並みの知能しか持っていません。職場のパン屋でも同僚に馬鹿にされながらも必死に働いています。
でも、そんなチャーリイは知能が良くなる薬を投与され、徐々に常人より遥かに優れた知能を持つようになります。
本作は主人公:チャーリイの一人称視点で書かれており、彼の「経過報告」として時系列と共に物語は綴られます。
途中から再開する時、先のページをちらっと見てしまうこと自体がネタバレになるような気がして、慎重にページをめくりました。こんなにも慎重に栞の位置を確かめなが続きを読んだ本は初めてです。
小尾芙佐氏による和訳も見事。原文は読んでいませんが、チャーリーの拙い言葉を見事に落とし込んでいるのだと思います。
チャーリイは投薬により頭が徐々に良くなり、ついには並外れた天才的な頭脳を持つようになります。
世界が広がりできることや友人も増えたチャーリイ。
そんな状況に喜ぶ一方、だんだん変わっていく自分と変わらない周囲の人たち。頭が良くなりいろんなことを理解してしまったがために気づいてしまった知らなくても良かったこと。
孤独と悲哀に苛まれるチャーリイ。
そして同じく薬を投与され、そんなチャーリイの一歩先をゆくネズミの「アルジャーノン」。
果たして、チャーリイは幸せだったのでしょうか。
ラストはただただ切ないし、先生であるキニアンの気持ちを考えると泣きそうになります。
”アルジャーノンに花束を”
Kindle Unlimitedなら、月額980円(税込み)で本が読み放題です。
Amazonの読書サブスクサービスです。
月額980円(税込み)で、小説、ビジネス書、漫画等 様々なジャンルの本が読み放題です。
以下ボタンから、Kindle Unlimitedに登録ができます。
初回30日は無料なので、試してみてはいかがでしょうか!
以上、海外SF作品5選でした!
海外小説をなんとなく避けていた人も、一度読んでみると「SF沼」にハマるかもしれませんよ!
おわり