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2025年3月の読了本【4冊】

2025年3月の読了本
鳴山シンゴ
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2025年3月の読了本は小説が4冊でしたー。

4月1日から転勤+部署異動のため、引っ越しの準備と送別会に追われた今月は読了数は少なめでしたが、いずれも楽しい作品を読むことができました!

シンゴ
シンゴ

ネタバレはありませんので安心してお読みください!

2月の読了本は以下記事にまとめていますので、ご参照ください!

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2025年2月の読了本紹介【12冊】
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砂漠/伊坂幸太郎/実業之日本社

購入本

タイトルの「砂漠」にはいろんな解釈ができます。

社会という厳しい砂漠に出る前の、大学生活という楽しいモラトリアム(猶予期間)。
それまでの厳しい中学高校の学校生活と、自分で稼ぎ生活をしなければならない社会人との間の期間。
そんな大学生活において何をし、誰と出会い、どんな経験をするか。。

さて、主人公は岩手から東北大学法学部へ進学した北村君。
主な友人は、鳥井、変わったキャラの西嶋、ちょっとだけ超能力を持つ少女の南、そしてクールビューティの東堂。
仲良くなったきっかけは、鳥井を除けば東西南北が揃っているからという理由でマージャンに誘われたから。
結局、大学って入学してすぐに仲良くなった友人や出席番号が近いメンバーと4年間一緒に過ごすことが多いんですよね。

ちなみに作者の伊坂先生は、主人公たちと同じく東北大学法学部卒です。
当時をいろいろと思い出されながら書いたんだろうなと思いました。

北村たちは、合コンにいったり、麻雀したり、バイトしてみたり。
ザ・大学生な生活を満喫します。

そんな中、とある事件が発生し急展開となります。
ただの大学生活の描写で終わらないのがこの作品の良いところなのでしょうが、その事件に僕は胸が締め付けられました。

やたらと麻雀の描写が多かったり、合コンや飲み会が開催されたりと、大学生ってそんなもんなんだろうなって思います。
根拠のない自信と行動力を持ち、飲み会とコンパに明け暮れる。やめとけばいいのに無茶をし、痛い目を見る。そんな大学時代を懐かしく思い出しました。

もしかするとそんな無駄とも思える時間も、社会人になるための通過儀礼のようなものかもしれないですね。

嬉しいことも悲しいこともあったけど、総合するととてもいい思い出。学生から社会人になる過程の期間が解像度高く表現されていました。

最終盤、卒業式での学長の言葉が心にぐさっと刺さります。

学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生を送るなよ。

砂漠/伊坂幸太郎/実業之日本社
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もしも徳川家康が総理大臣になったら/眞邊明人/サンマーク出版

Kindle Unlimited

本作品は2024年7月に実写映画化されています。

時は2020年。
全世界で新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時、日本政府は徳川家康を総理大臣とし、織田信長、豊臣秀吉、坂本竜馬といったそうそうたる偉人達をAIで復活させた「最強内閣」を発足させ、国難の解決に挑みます。

個人個人は優秀なのでしょうが、徳川家康は豊臣家を滅ぼした男ですし、坂本竜馬は徳川家が築いた江戸幕府を終わらせた男です。
一見すると偉人同志の確執はとても大きく、協力しながら政治を行えるか不安になります。

また、何百年も前の偉人たちが現在の日本や科学技術に適応できるのか?との当然の疑問もわきます。

しかし、そこはプログラミングでできたAI。
それぞれの偉人間の確執が影響しないように設定されていますし、現代の情報や科学技術はあらかじめインプットされています。

そんな偉人たちが、新型コロナウイルスの感染対策のみならず、不景気、愛国心の低下、政治への不信感,,,etcといった日本の現代社会の課題にも切り込み、痛快に世直しをします。

もちろんフィクションなので現実はそんなにうまくいくことはないと思いながらも、「本当にこんな最強内閣がいてくれたら、もっと日本は良くなるのになあ」と思わせてくれるほど、読んでいて前向きな気分になりました。

本作品中はSFですが、しっかりと最強内閣の各偉人や当時の出来事の解説もあり、歴史の勉強にもなります。

例えば、生類憐みの令を発令し「犬公方」と呼ばれてしまい、イマイチ現代人からの評価が低い江戸幕府第5代将軍:徳川綱吉ですが、その有能さが詳細に書かれています。


反面、痛快な前半と少し雰囲気が変わり、作品の後半からはAIに支配された人間という構図にも言及します。

圧倒的人気と支持率を誇り、抜群のリーダーシップとスピード感で日本を立て直した最強内閣。しかし、国民がその最強内閣を妄信する余り、また争いの火種が燻りそうになります。

誰もが自由で幸せな世界は実現しない。誰かの自由を実現するためには、誰かが不自由を感じなければならない。大きな流れの中では、唯一無二の正解はない。

政治とは、自由とは何か。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。
byオットー・フォン・ビスマルク

スメラミシング/小川哲/河出書房新社

図書館より貸し出し

小川先生の作品は「君が手にするはずだった黄金について」、「君のクイズ」に続いて3作目です。
小川先生は東京大学卒の秀才であり上記2作も中々の頭脳派作品でしたが、今作はさらに難しかったです。でも興味深い!!

本作品は6遍の短編集で、どの話も哲学的な内容です。
現代が舞台の話もあれば、遠い未来や過去の話もありました。

共通しているのは、いずれも神だったり宗教だったりを扱うストーリーで、神の存在について新たな解釈を僕らに与えてくれるように感じました。

最初の「七十人の翻訳者たち」がなかなか難解なこともあり少し心が折れかけましたが、後半の話になるにつれどんどん読みやすくなりました。
というより、この本に慣れてきたという表現の方が正しいかもしれません。
この感覚は実際に読んだ人でないとわからないと思います。

◆個人的には、『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』という話が好きです。

そこは、神という超常的な存在や奇跡によるあり得ない事象は否定され、世の中は科学的でかつ偶然の自称で成立している世界です。
神や宗教を信じず、科学的、現実的な視点をもっている人からすると、この世界はある意味過ごしやすいのではと思います。

しかし一通の手紙により、皮肉にも神と科学の源泉は同じと証明されてしまいます。

シンゴ
シンゴ

読んでいる途中で、「三体」シリーズを読んでいるときと似た感覚になりました。

◆表題作の『スメラミシング』は、新型コロナウイルスによって浮き彫りにされた現代社会の異常性を表しているように感じました。

科学的なワクチンや専門家の助言を「陰謀」と妄信し、自分にとって耳障りのよい民間療法や科学的根拠のない情報に踊らされる人々。

そんなつもりはないのにSNS上で教祖のように崇められ、勝手にそれを思想として曲解した信者が行動を起こしてしまう。などなど。


◆月が2つに増え、地球の自転が止まって文明が滅びてしまった世界を描く、「ちょっとした奇跡」も面白かったです。
僕らも思いもつかなかった世界観の中で、少年少女の結末が気になり、どんどん読み進めてしまいます。

最初に書いた通り、少しこの本は難しいです。(少なくとも僕にとっては)
でも、読み進むうちにだんだんとクセになります。
ご興味がある方はぜひ読んでみてください。

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そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティー/クリスティー文庫

図書館より貸し出し

ようやく読めたクローズドサークルミステリーの傑作。

クローズドサークルミステリーの元祖とも言われる本作品。
読んでみると納得。この作品が後世に与えた影響はとてつもなさそうですね。

本作品は1939年とほぼ1世紀前の作品ながら、古臭さはほぼ感じませんでした。

現代のクローズドサークルミステリーでも、携帯電話や移動(脱出手段)が封じられているケースは多いです。
そうすると、結局アナログだったり原始的な手段だったりに頼らざるを得ないので、現代風な携帯電話や脱出手段がない本作も違和感なく読むことができたのかもしれません。


さて、本作品の舞台はイギリスの沖合いにある兵隊島。その島に集められた年齢も性別も職業も異なる10人の男女には、とある共通点がありました。

島に閉じ込められてしまった彼らには、島からの脱出手段も島外への連絡手段もありません。そんな中、童謡「十人の小さな兵隊さん」の歌詞になぞられて、1人また1人と殺されていきます。

メンバーの中に犯人がいるのか、それとも隠れる場所のない孤島の中に他の誰かかいるのか。。皆、疑心暗鬼になりながらも生き残るために協力していきます。

クローズドサークルものの醍醐味は、やはり内部に犯人がいるのか、外部の者の犯行なのかが最後までわからないこと。
また、閉じられた状況でどのように犯行をするかを推理しながら真相に向かうことができる点ですね。

シンゴ
シンゴ

残念ながら、推理しても、犯人を当てた経験は僕にはないのですが。。。

エピローグでの犯人の独白も面白いです。

本作に限らず、作中で真相が解明されないケースは、余韻を残す感じですいいですね。
読者が「自分は、犯人や詳細を知っているんだぜ」という優越感を感じることができます。


この作品を読んだあとに、十戒(夕木春央/講談社)を読むとより楽しいかもしれません。

十戒も、離島の宿泊施設に閉じ込められた人たちが1人また1人と殺されてしまう作品で、本作品のオマージュというか、リスペクトを存分に感じられます。

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他のアガサ・クリスティー作品も読んでみたくなりました!


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以上、2025年3月の読了本でした!

4月は新居の片付けと異動後の仕事で本を読む時間が確保できるか心配ですが、よりよい本に出合えることを楽しみにしています。

おわり

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鳴山シンゴ
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化学メーカー営業マン / ブロガー
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