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2026年5月の読了本【10冊】

2026年5月の読了本【10冊】
鳴山シンゴ
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2026年5月に読んだ本を紹介します!
5月は小説が10冊でした!

英語をガチるといいながらしっかりと10冊読んでしまっているのは現実逃避なのでしょうか・・・

4月(前月)の読了本は以下記事にまとめていますので、あわせてご覧ください!

あわせて読みたい
2026年4月の読了本【8冊】
2026年4月の読了本【8冊】
2026年5月の読了本

①キッチン常夜灯/長月天音
②小説/野崎まど
③告白/湊かなえ
④キッチン常夜灯 真夜中のクロックムッシュ/長月天音
⑤コズミック・ガール 宙わたる教室/伊与原新
⑥キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン/長月天音
⑦卒業のための犯罪プラン/浅瀬明
⑧まず良識をみじん切りにします/浅倉秋成
⑨ツナグ/辻村深月
⑩旅屋おかえり/原田マハ

ネタバレはありませんので安心してご覧ください!

キッチン常夜灯/長月天音/KADOKAWA

Kindle Unlimited

4月はヘビーな小説が続いたことと英語の勉強疲れもあり、心が優しい小説を求めていました。そんな時にXで読了ポストをよく見かけていた本作をKindle Unlimitedで発見。読んでみることに。

本作の主人公は浅草のファミレスで若くして店長を務める南雲みもざ。女性活躍を掲げる会社の意向で、店長になりたくてなったわけでもない彼女は、観光地のど真ん中にあるファミレスの店長として多忙でストレスフルな日々を過ごします。

そんなある日、みもざが住むマンションで火災が発生。部屋が水浸しで住めなくなってしまったみもざは、いまは倉庫となっている会社の社員寮へ住まざるをえなくなってしまいます。

僕は昨年の始めまで東京に住んでいて作中に出てくるエリアにも詳しいこともあり、遠い中大変だなあとか、ここにそんな店があったらいいなあとか思いながら読みました。

ただでさえ仕事で忙しい毎日なのに、家に住めなくなり通勤時間も長くなってしまったみもざ。そんな状況で出会ったのが、「キッチン常夜灯」というフレンチのお店。
この「キッチン常夜灯」はその名の通り夜通し開店しており、終電を逃した人や活動時間が遅い人、事情があって夜中も起きておきたい人達の止まり木となっています。

キッチン常夜灯の周辺で繰り広げられる人間ドラマだったり、仕事への気付きや思い入れだったり、職場の苦手な先輩とのかかわりだったり。辛いことも苦しいこともあるけれど、読んでいてほっとするし、美味しい料理が食べたくなります。

みもざにとって、家事で住む家を失ったことは間違いなく不幸ですが、この「キッチン常夜灯」に出会えたことは非常に良い出来事だなと素直に感じることができます。

というか、シンプルにこの店が実在しているのなら行ってみたいです。夜通し空いている店といっても、料理もサービスも本格的でめちゃくちゃ食欲がそそられます。

登場人物の中ではキッチン常夜灯のシェフが1番好きです。
シェフの子供時代とシェフを目指したきっかけの話が良かったな。

月並みな感想ですが、飲食店の店長って大変ですよね。体力的にも精神的にもキツいし本当に尊敬します。でもそんな彼らも僕たちと同じ人間です。落ち込むこともあれば怒ることもある。そんな時、いつでも空いていていつまでもいることができる、「常夜灯」のようなお店があれば本当に救われると思います。

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小説/野崎まど/講談社

図書館

2025年本屋大賞第3位。ずっと読みたかった本。やっと図書館の予約が回ってきました。

どんな小説なのか。そもそも小説なのかすら知りませんでした。

本作の主人公は幼い頃から小説の世界にのめりこんだ内海集司。そんな内海は、12歳の頃に同じく小説の魅力を共有できる同級生:外崎真と出会います。小説に魅了された2人は、通っていた小学校のすぐ近くにあった通称「モジャ屋敷」に入り浸り、そこに住む小説家の「髭先生」と出会います。

「モジャ屋敷」には小説が大量にあり、2人はそこで好きなだけ小説が読める状況を手に入れ、さらに小説の深い世界にのめりこんでいきます。

本作はテンポが非常にいいです。というかテンポが速すぎます。たまに「ページを飛ばしたのかな?」と思うくらい次のシーンが脈絡のないということもよくありました。
そして時代背景がよくわかりません。冒頭は読んでいると少し昔の話かなと思いましたが、実際には現代のお話でした。

内海と外崎は生涯の友として共に小説を読みながら成長していくのですが、やはり成長していくと小説を読んでいるだけでは暮らしていけないのが悲しいところ。勉強もしないといけないし、お金も稼がなければならない。

そんな中、2人の生活に転機が訪れます。何があったかは書けませんが、それをきっかけにした、中盤の内海の吐き出しが胸にグサっと刺さりました。

そして後半。本当に同じ小説か?というくらい急に展開がぶっ飛んできて、頭に「?」を受けべながらもくらいついて読みました。

「小説」とは何か。
小説の持つ「意味」とは。
小説は「読むだけでいいのか」。

小説と共にあった外崎と内海たち2人の人生。
本作は、小説を読みたくなる小説。まさにタイトルの通りの作品でした。

最後のページ。痺れました。

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告白/湊かなえ/双葉社

図書館

湊かなえ先生のデビュー作にして、第6回本屋大賞受賞作。
何気に湊かなえ先生の作品は本作が初めてです。

シングルマザーの中学校教師:森口悠子。その最愛の娘である愛美の死。

愛美は自分が受け持つクラスの生徒に殺された。中学1年の終業式の日のホームルーム、森口のそんな衝撃的な告白から本作は始まります。

いやもう第一章から怖すぎ。そして、2年に進級し新担任が来た第ニ章。
何も知らない新担任が、犯人たち2人の生徒をクラスに溶け込ませようとして空回りする様と対照的に、真相を知りながらもそれを表に出せない生徒たち。噛み合わない歯車はどんどん事態を悪化させていきます。

森口がかけた「呪い」がめちゃくちゃ怖い。自分たちがこのクラスの生徒になったらと思うとゾッとする。怖いのに、読みやすいのもあってどんどんページをめくってしまう。結局一日で読んでしまいました。

その後も章毎に語り手を変えて第三章、第四章と進みます。それぞれの登場人物の胸の内と考え、思い通りにならない人生。
一つの不幸は、それに関わる人を連鎖的に不幸にしてしまう。

登場人物のそれぞれの境遇を主観的に疑似体験することで、同情のような感覚が芽生えてしまう。この事件に関わった彼らは救われることがあるのだろうか・・・

と思って読んでいたら、最後の全く容赦のない電話と衝撃的なラスト。読了した日の夜は後味の悪さで眠りにつくのに苦労しました。

これは確かに出版当時物議を醸したのも納得。多角的で複層から構成された名作です。作者が「イヤミスの女王」と評されるのも納得です。

怖い物見たさで他の作品も読んでみたくなりました。

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キッチン常夜灯 真夜中のクロックムッシュ/長月天音/KADOKAWA

Kindle Unlimited

月の初めに読んだ一作目が気に入ったので、2作目も読んでみました。
作者の長月先生は飲食店勤務が長いということです。店舗シーンの解像度が高いのも納得ですね。

2作目も「キッチン常夜灯」を舞台に物語は繰り広げられます。
2作目の主人公は、同じくチェーンの洋食レストラン「ファミリーグリル・シリウス」を運営する、株式会社オオイヌの本社営業部に勤務する新田つぐみです。
このつぐみは1作目の主人公:南雲みもざの同期で、かつては自分も店舗で勤務していましたが、現在は営業部で忙しい日々を送っています。

会社が推し進める女性店長の増加によって、本社勤務になったベテランの男性元店長たちと、それによって増えた自身の仕事に頭を抱えながらも、つぐみは頑張って働きます。

そんな中、みもざに連れていかれたのが「キッチン常夜灯」。つぐみはこの店を気に入り、1人でも通うようになります。

自身にかけられた呪い。何かが減った分それを埋めないとと焦る気持ち。
キッチン常夜灯はそんな悪いものを清めてくれる温かさがあるんでしょうね。落ち着ける場所でしっかりと考えて、他人を知って自分と向き合い、そして成長ができる。

僕がこの作品が好きな理由は、穏やかで必ず良い方向に着地する安心感ももちろんですが、読んでいて必ずハッと気づかされる部分があることですね。

本社で電話も取らずに何をしているのかもわからないベテラン元店長たちも、会社の無理な方針変更で適所でないとこに異動させられ、会社の方針に背かないように気を使いながら仕事をしている。人にはそれぞれ色んな事情や背景がある。

色んなトラブルに見舞われながらも、キッチン常夜灯とそれによって変わったみもざを見ながらつぐみの心境は変わっていきます。そして、その変化は周囲にも良い変化を与えていくことになります。

前例のないことを行うのは、オオイヌではなかなか大変だ。だからみんな新しいことを始めない。でも、今、その新しいことを自分たちが始めようとしている。これまで感じたことのない充実感を私は味わっていた。

キッチン常夜灯 真夜中のクロックムッシュ/長月天音

コズミック・ガール 宙わたる教室/伊与原新/文藝春秋

購入本

大好きな前作「宙わたる教室/(伊与原新・文藝春秋)」の待望の続編です。
はい、最高の続編です。

本作を読んだ後はJamiroquai(ジャミロクワイ)の「Cosmic Girl(コズミックガール)」という歌が聞きたくなること間違いなし。

快挙を成し遂げ伝説となった東新宿高校・定時制科学部。それに憧れて超進学校から転入してきた主人公:飯星佐那。

しかし、6年経った今では東新宿高校の定時制から科学部は消滅し、当時生徒たちを導いた藤竹先生もいない。さらには当時を知る教師もほとんどいません。

ただでさえ超進学校からの転入で浮いているのに、科学部を作ろうと躍起になっている佐那はクラスメイトから白い目で見られて空回り。しかも担任である国語教師:里仲遥香は、定時制にやる気を全く見出せず全日制への異動をただ待つだけ。
しかし佐那の地道な活動と、佐那の元に集まってきた仲間たちに触れ、そんな遥香も彼女たちと共に変わっていきます。

同時に、最初は定時制の科学部を馬鹿にしてくる周囲の人たちも徐々に変わっていきます。

化学は人を選ぶ。とくに自分のような文系人間には、近づけないものだ。ずっとそう思っていたけれど、それは間違いだったのかもしれない。科学はもしかしたら、何よりも平等で公平なものではないか。

コズミック・ガール 宙わたる教室/伊与原新/文藝春秋

このセリフも印象深いですね。
僕もバリバリの文系人間ですが、今では化学メーカーで開発営業を務めています。「もっと科学について勉強したい。科学って面白いんだ。」って本当に思わせてくれる作品ですね。

本作では、前作ではなかなか触れられなかった定時制の教師側にも視点を当てていて興味深かったです。誰もが藤竹先生のように活力に溢れたわけではない。というか、自分でも多分定時制の教師になったらそうなる気がします。

でも、なぜ藤竹先生は東新宿高校から去ってしまったのでしょうか。それは読んでみてのお楽しみです。

続編の良いところと言えば、伝説となった6年前の科学部オリジナルメンバーのその後を見られることですね。時が経ってそれぞれの状況も変わっていますが、それぞれの熱い思いは全く変わっていません。岳人の成長っぷりも最高です。

そして、やはり前作の実写版は最高でしたね。登場人物の顔も声もそれでしか浮かばないし、場所も何もかもビジュアルでイメージできることが本作への没入感を一層高めてくれます。

本作では、定時制の現状や小児病棟の実態などにも踏み込みます。正直、読んでいて辛いことばかりです。でも、当事者たちは腐ることなく前を向いて生きていますし、それに影響された周りの人達の変化も素晴らしいです。定時制 料理部の白川が定時制を眩しく感じるのもまたいいですね。

本作の主人公は佐那ですが、本作のもう1人の主人公は片倉理だと思います。辛い病気やそれによる不都合を経験しながらも、常に前を向き、全体の成功を願う。世界の人がみんな理のような人になればいいのになと思いました。

いい!ダメでもともと、とにかくやってみりゃいいんだよ。

コズミック・ガール 宙わたる教室/伊与原新/文藝春秋

科学にはこのマインドが大事です。失敗を恐れ一歩を踏み出さない人も失敗を許さず過剰に叱る人も多いですが、まずはやってみて失敗から学ぶこと。それが大事ですね。

ですから、宇宙へ出て行かないという選択肢は、我々にはありません。そして、未知の世界への旅立ちはいつだって、希望です。

コズミック・ガール 宙わたる教室/伊与原新/文藝春秋

必ず気持ちが前向きになる素晴らしい作品。未読の方はぜひ前作からあわせて読んでみてほしいです!

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キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン/長月天音/KADOKAWA

Kindle Unlimited

すっかりキッチン常夜灯シリーズの優しさに惹きこまれたので、3作目も読んでみました。本記事作成時点でKindle Unlimited対象作品はこの3作目まで。残念!

3作目の主人公は、同じく「ファミリーグリル・シリウス」を展開する株式会社オオイヌの製菓部で働く森久保かなめ。

この製菓部は元々別の「カモメ製菓」という会社だったけど、とある事情でオオイヌの一つの部署となりました。元々カモメ製菓の社長で現在はオオイヌの製菓部長は、ファミレスであるシリウスを下に見て、そこで出すデザートなんて他人事だと思っています。

店舗で働き、いずれは店長になりたいという想いを持っていたかなめは、オオイヌのプロパー社員としてたった一人で製菓部に配属され働いています。本社社員を快く思わない元カモメ製菓の社員たち、現場に入らせてくれず仕事は雑用ばかり、工場で働くパートとの摩擦・・・など、かなめはストレスフルな生活を送ります。

そんな中、シリウスの中でデザートを中心とした売上/損益UPのためのプロジェクトがスタート。製菓部と本社との連絡役を押し付けられたかなめは、そこで営業部の先輩:新田つぐみと出会います。この新田つぐみは上で紹介した2作目の主人公で、やはりキッチン常夜灯に救われた1人でした。

かなめはそんなつぐみに連れられてキッチン常夜灯へ行き、そこでしっかりとハマってしまいます。

工場にはパートの方がいて、製造現場があって・・・同じオオイヌという会社の中でも、店舗、本社、工場と立場や仕事が変われば悩みや思いも変わって、いろんなことに気づかせてくれますね。

ただ共通しているのは、登場人物たちにとっていかにキッチン常夜灯が特別で大事な店か、ということですね。

社会に出るまで、いや、豊洲店で働いている時まで、私は何事も順調だった。自分はうまくやっていると思っていた。でも、きっとうまくいくと思うことにしか手を出してこなかった。それなら成功するのが当たり前だ。 だからそうでないことにぶつかると、とたんに途方にくれてしまう。うまくいかない自分にイライラして、すべて周りのせいにする。

キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン/長月天音/KADOKAWA

「常夜灯」に来てよかった。心からそう思った。仕事から離れる。誰かと話をする。他愛のない話でいい。それが心の中にすうっと違う風を運んでくれて、やる気を起こさせてくれる。

キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン/長月天音/KADOKAWA

かなめもまた、キッチン常夜灯に来て考えや仕事への意識が変わっていきます。

そして苦手に感じていた製菓部長との接し方も次第に変わってきて、物事は良い方向に少しずつ動いていきます。

良いことがあればやる気も出て物事にもポジティブに捉えるし、悪いことがあれば悲観的でうがった見方をしてしまう。落ち着ける場所で優しい人と交流し、美味しいごはんを食べて心身共に回復する。これって本当に大事なのでしょうね。

本作は必ず最後で物事が良い方向に進みますので、本当に安心して読むことができます。

卒業のための犯罪プラン/浅瀬明/宝島社

Kindle Unlimited

2024年第22回『このミステリーがすごい!』大賞 文庫グランプリ受賞作。

本作が浅瀬先生のデビュー作です。内容から、作者はてっきり経済系学部の卒業生か企業で企画などの戦略を学んだ方かと思いきや、何と理工学部建築学科卒業を卒業し現在は書店員とのこと。素晴らしいですね。

ポップな表紙のイメージとは裏腹に、非常に作りこまれていてかつ経済の勉強にもなる。 そしてキャラも魅力的。とても面白かったです!

物語の舞台は木津庭特殊商科大学、通称“庭大”。「商いの魔術師」と呼ばれた電機メーカー創業者が設立した大学であり、学内でのみ流通する「事業ポイント」を稼ぐために大学内で商売をすることで、商売人を育成するという大学です。

主人公である降町はそんな庭大の2年生。降町は学内での「事業ポイント」稼ぎには加わらず学外のバイトに明け暮れていたのですが、自営業をしている実家の借金により来年以降の大学が危機的状況になってしまい、「事業ポイント」を早期に大量に稼ぐことで飛び級での卒業を目指します。
降町はポイントをためて1年で卒業ができるのか。それを見届けるのが本作の目的となります。

本作の魅力はいくつもあります。魅力的な登場人物、ビジネスのアイデア、ルールやモラルから見た具体的な商売の課題・・・などなど。

「事業ポイント」という独自のポイントとそれで回る大学内の経済圏という設定を作りあげ、それを解像度高く物語として落とし込んでいる点が非常に秀逸です。そして、しっかりと情報を出してそれを後から潰していく緻密さと複層構造が素晴らしい。

最初は頼りなく思えた降町ですが、先輩である黒河、共犯者である熊倉、大学内のサークルや事業ポイントを牛耳る三賢人などと関わり、事業ポイントを効率良く、時に姑息な手を使って稼ぐために考えを巡らせることで成長します。
降町もしっかり優秀ですし、根っからの善人ではないところも本作を面白く読ませるポイントですね。

本作にはいろんな問題も孕んでいますが、しっかりそれについても細かく説明が入り、読者が腹落ちするのも素晴らしいところ。個人情報保護法と企業側がそれの影響を最低減に抑えるための予防策、インフレに対する政府(大学側)と消費者(生徒)側の対応、点数評価至上主義・・・などなど。

親切メーターなんてその典型ですね。皆評価を上げたいがために優しくなるけど、見かけ上、点数が低い人は下に見られる。そのため自分の点数を上げるために躍起になり、手段も選ばなくなってくる。

結末がどうなるのかがシンプルに気になるし、読んでいて経済の勉強にもなる。登場人物は淡々としながらも人間臭さもある。とても面白い小説でした!

たんなる金儲けと誠実な商売とはまったく違うものであり、この社会で必要とされるのは後者です。

卒業のための犯罪プラン/浅瀬明/宝島社

まず良識をみじん切りにします/浅倉秋成/光文社

図書館

久しぶりの浅倉先生の作品。本作が2024年に出版された際、内容が結構話題になった記憶があります。

タイトルが独特なので「どんな本なんだ?」と思いながら本を開くと、いきなり「この本の美味しい召し上がり方」が書かれていて頭にハテナが浮かびます。

そして1話目でいきなり不穏です。
営業マンが取引先の担当をいかにデスゲームで残酷に殺すことができるか、というストーリーです。

びくびくしながら読み始めましたが、1話目で本作の読み方がわかります。まさに「まず良識をみじん切り」してから、オープンな気持ちで読めばどの話も非常に面白く読めます。

本作は5話からなる独立短編集で、どの話も「常識ってなに?」と僕らに語りかけてきます。

・自作のデスゲームで取引先の担当者を殺すことに全力を尽くす営業マン
・超人気なクロワッサン専門店の行列がもたらす悲劇
・控え室から出てこない花嫁とそれが原因で起こる惨劇
・なぜか試合中にチームを裏切った一塁手
・息子の命名に悩みすぎな、妄想癖のある父親

どの話もぶっとんでいるのですが、どこかどの話も他人事とは思えません。おそらくこの世界が成り立っているのは本当にギリギリのところであり、少しでもバランスが崩れてしまうとこうなってしまうのでしょう。多分。

クロワッサンの話も面白いです。クロワッサン一つでここまでスケールをデカく、かつくだらない話にできるのはすごい。でもこの話はクロワッサンをスケープゴートにしていて、もっと根本的で現実的な問題が存在することを僕たちに暗に示しているように感じました。

チームを裏切った一塁手についても、だれしもが「なぜそんなことを⁉」と思ってしまいますが、結末まで読んでしまうと一塁手:鳥兜の行動の理由もわかる気がします。僕も心当たりがあります。

そして一番のお気に入りは、最後の「完全なる命名」です。我が子の名づけとはそりゃもう大事です。子どもの人生を大きく左右するのにやり直しができません。父親が繰り広げる妄想によって、とある名前を付けられたそれぞれの息子の人生が垣間見えるのも非常に面白かったです。そしてオチも良い。

どんな内容か気になる方はぜひ読んでみてください!読む前に良識をみじん切りするのを忘れずに!

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ツナグ/辻村深月/新潮社

図書館

実は初読みの作者さん。いろいろ有名な作品は知っているのですが、「どれから読もう」と思っている間になかなか読めずにいました。

本作は、一生に一度だけ、死者との再会を実現してくれるという「死者(ツナグ)」を題材にした連作短編集。

この世の人もあの世の人も、異なる世の人と会うことができるのは、一度だけ。もう会えなくなった愛しい人にもう一回だけ会いたいのか、聞きたいことを尋ねるために会いたいのか、それとも他の人に先を越される前に会って機会を潰しておきたいのか・・・

その「ツナグ」を務めるのは、その大役にはあまり似つかわしくない男子高校生。なぜ彼が「ツナグ」を務めているのか、彼は誰なのかは読んでみてのお楽しみ。

特に心に残ったのは以下の2つでした。

1つは「長男の心得」。母に癌の告知ができないまま死なせてしまった息子:靖彦が、ツナグを介して母に再会します。

靖彦はよく言えば昔気質。地方で工務店を営む一方、亭主関白で態度もデカい。ツナグの存在もハナから信じていません。母に会う理由も山の権利書の場所を聞きたいから、というもの。

でも読んでいると、彼がそうなったのはなんとなくわかる気がします。父親を早くに亡くした後の自営業の責任、長男の責任、本家である責任・・・
そういった色んなしがらみにがんじがらめにされた彼は、母に会って何を話したんでしょうか?

読んでいるとドラえもんの以下のシーンを思い出しました。

ドラえもん 16巻 「パパもあまえんぼ」の画像

画像引用:ドラえもん 16巻 「パパもあまえんぼ」(小学館)

2つ目は「親友の心得」です。
演劇部に所属する嵐と御園は同じ高校に通う同級生で親友。御園は坂道で交通事故に会い死んでしまいます。嵐は御園に会うために「ツナグ」に依頼します。

この話はとにかく良くできています。こうも心を揺さぶり、そしてキリキリさせてしまう話はあまり覚えがありません。

親しい人のことを、一時的、短絡的に疎ましく思い、その人の不幸を望んでしまう。その気持ちはわからなくもないです。じゃあその不幸がもし起きて、その相手に会えるとしたら・・・会うまでもどんな反応なんだろうと怖いし、会った後も・・・
個人的にはこの話が本作のMVPです。

そして最後の「使者の心得」。
その名の通り、使者である「ツナグ」が主人公のお話です。「ツナグ」の秘密が明らかにされますし、これまでの話の裏側や答え合わせも知ることができますので、伏線回収のような形でとても興味深く読むことができます。

本作は生者の視点でのみ語られます。そのため、読者も「自分なら一度の機会で誰と、どんな話をしようか」ということばかりを考えされられます。

でも僕が強く思ったのは逆でした。
自分が死者の方なら、一度だけの機会に誰が来て欲しくて、その時何を伝えたいだろうか。

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旅屋おかえり/原田マハ/集英社

図書館

久しぶりの原田マハさん作品。旅好きの僕としては惹かれるタイトル。でも「旅屋」ってなんぞや。早速読んで見ることに。

タイトルの意味は割と序盤で回収されます。
元アイドルのタレント:丘えりな(通称:おかえり)は、唯一のレギュラー番組である「ちょびっ旅」のスポンサーを怒らせてしまい番組が打ち切りに。

そんなおかえりのもとに、難病で旅へ行けない女性から、代わりに旅に行き角館の満開の桜を見せてほしいとの依頼があり、“旅屋”となることに。

圧倒的晴れ女なのにまさかの大雨、さらに悪いことに季節外れの雪に見舞われながらも、おかえりはなんとか依頼を達成。

思い通りにいかないのが旅というものです。むしろそのライブ感が楽しいですよね。
とはいえ、おかえりは他人の依頼を受けて旅をしているのでそのプレッシャーもあるでしょう。ツアーガイドさんなんかもこんな感じで大変なんだろうなとふと感じました。

角館の旅屋の成功以降、依頼も順調に来るようになり首の皮一枚つながったおかえりと彼女の所属している芸能プロダクション「よろずやプロ」に、一件の依頼が来ます。

その依頼は、唯一の血縁である姪を探すために愛媛県内子町へ行くというもの。その依頼は「よろずやプロ」を救うものですが、社長を含め他の関係者は浮かない顔。不安になりながらも内子町を訪れたおかえりは、過去の悲しい出来事と、人の優しさに触れます。

おかえりがしっかりと内子町で依頼を完遂できたのかは本作を読んでみていただきたいのですが、本作で感じることは旅の良さと家族の温かさですね。

作者の原田マハ先生も旅好きということもあり、本作からは旅の良さが十二分に伝わってきます。旅小説っていいなぁ。僕も旅に行きたいなあ。

旅は、出かけるだけで、すでに意味がある。そう思わねが。

旅屋おかえり/原田マハ/集英社

旅に出る気持ちと丈夫な身体があるうちに旅に出るべきですね。行きたいところへ、いつでもどこへでも。

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旅小説が好きな方は近藤史恵先生の「スーツケースの半分は(近藤史恵/祥伝社)」「たまごの旅人(近藤史恵/実業之日本社)」もオススメです!ぜひ読んでみてください!

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初回30日は無料なので、試してみてはいかがでしょうか!


以上、2026年5月の読了本でした!

おわり

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鳴山シンゴ
鳴山シンゴ
化学メーカー開発営業 / ブロガー
世界を旅するブロガーを目指す30代化学メーカー開発営業。趣味(読書、カメラ、サウナ、旅行、バドミントン)やお金・ライフハック関連の記事を投稿していきます! ※現在英語勉強中のためブログは低空飛行。
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